■後日談の世界

人間の世界はすっかり終わった。

人類は技術を歪に進めた。
ナノマシン技術。
“自我”の存在が確立。
生体コンピューターの作成。
原型を留めぬほどの遺伝子操作。
それらは当然ながら軍事にも次々と転用され……。
こうした技術の集大成が、おぞましい技術系統となった。

それがネクロマンシー。

死者を動かす技術。
誰も死なない戦争をするための技術だ。
その兵士たちはもう死なない。
最初から死んでいるのだから。

もっとも、戦争が拡大すれば火力は過剰化していく。
動く死者……アンデッドらも補強され、増員される。
時には生者から徴兵すらされながら……。

死者たちが淡々と殺し合う中、人類は何も戦火を広げ続け。
資源不足に喘ぎながら、さらなる紛争を繰り返す。
やがて、アンデッドの代理戦争には飽き足らず、大規模な兵器が次々と投入。

巨大昆虫兵器や植物兵器などの悪夢の産物も徘徊する中。
人類は自ら世界を炎に包み、滅んだ。

鉛色の空、荒れ果てた大地、汚染された海。
滅んだ世界に残るのは死者たちと、わずかに生き残った生命。
戦争も世界も終わった後も、死者たちは動き続けている。
そして、彼らを作り出す存在も……少なからず、生き残った。
ネクロマンシーの使い手ども。
ネクロマンサーこそが、この終った世界の支配者だ。

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(C)2011 Ryou Kamiya